子どもの養育費の基礎知識と受け取る方法
未成年の子どもがいる夫婦が離婚するときには、子どもの養育費が気になる方が多いと思います。
養育費は受け取れないとか十分な金額ではないと聞きますので、不安な気持ちになるのも仕方がないのかもしれません。
子どもの養育費は、離婚をすると行政機関が自動的に決めてくれる訳ではなく、離婚をする夫婦で取り決めを行う必要があります。また、養育費が支払われない場合でも、当事者で支払いを求めて解決をしなければなりません。
養育費の仕組みを理解し適切な手続きを行えば受け取れる可能性は高まります。
養育費の特徴を理解できれば、適正な養育費の請求ができますし養育費の未払いを防げます。
養育費の基礎知識と相場を解説していきます。
❏【 目 次 】 子どもの養育費の基礎知識と受け取る方法
1 養育費の基礎知識
1-1 養育費が持つ意味とは?
1-2 養育費が受け取れる期間
1-3 適正な養育費の金額とは?
1-4 一度取り決めた養育費も変更が可能
1-5 養育費は原則非課税
1-6 離婚するまでの期間は婚姻費用
1-7 再婚したときの養育費
2 養育費の未払いを避ける
2-1 養育費の取り決めができていない
2-2 相手に養育費の支払い能力がない
2-3 養育費の取り決めをしたが支払いに応じない
2-4 その他に養育費が受け取れない場合がある
1 養育費の基礎知識
養育費は誰もが知っている言葉ですが、養育費の持つ意味を正確に理解している方は少ないと思います。また、養育費は受け取れないとか金額が少ないと聞き、不安を感じている方も居るでしょう。
養育費の持つ意味を理解できていないと誤解を持ってしまいます。
養育費は行政から支給されるお金ではなく、親権を持たない親が一緒に暮らしていない子どもに対して支払うお金です。
養育費の支払期間や金額は法律で明確に決まっておらず、当事者で話し合いをし取り決めを行う必要があります。また、養育費を受け取るための手続きや行動も当事者で対処しなければなりません。
養育費の取り決めや未払いを防ぐ対策ができていないと、養育費の受け取りが困難になってしまいます。
養育費は親権者のお金ではなく、子どもを養育するために大切なお金です。親の責任として受け取るための行動を取りましょう。
1-1 養育費が持つ意味とは?
未成年の子どもが一人で生きて行くのは困難であり、親には子ともに対してさまざまな義務や責任があります。
親の義務や責任の中核となるのが子どもに対する扶養義務であり、親には子どもを扶養する義務があります。親子関係があると扶養義務が発生しますので、離婚をしても変わらず両親に扶養義務があります。
離婚をする夫婦に未成年の子どもが居るときには、子どもの親権者を決める必要があります。
子どもを監護する親(監護親)は、子どもを監護していない親(非監護親)に、子どもの養育に必要な費用を請求ができます。
親権を持たない親が子どもを扶養するために支払う費用を「養育費」と呼んできます。
親権とは、「子どもの生活の面倒を見て財産を管理する権利」ですので、親権者のみを親として認める権利ではありません。親権を持たない親も子どもとの親子関係に変わりはなく、離婚後も親子関係が継続します。
離婚をして親権を持たない親も子どもの親に変わりありませんので、扶養義務があり養育費の支払い義務が発生するのです。
一方で、離婚をすれば夫婦は法律上は他人に、元配偶者の生活を保障する必要はなく扶養義務もなくなります。(ただし、特別な事情があるときには、扶養的財産分与として一定期間は金銭を支払い場合があります。)
つまり、養育費はあくまでも子どもを養育する費用であり、元配偶者の生活のためのお金は認められません。
養育費は子どもが最低限の生活ができる扶養義務ではなく、それ以上の内容を含む「生活保持義務」があります。
生活保持義務とは、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を、扶養を受ける者にも保持させる義務です。つまり、養育費の支払い義務者と同等の生活水準を保てる費用を支払う義務があるのです。
養育費は支払者の生活が苦しい理由で義務を免れる訳ではなく、生活水準を落としてでも払う必要があるお金です。
1-2 養育費が受け取れる期間
養育費が受け取れる期間は、「原則として子どもが成人するまでの期間」です。正確には子どもが18歳になる月までの支払いが基本です。
子どもが成人になれば社会的に自立した大人と考えられ、養育費の支払い義務がなくなる考えが一般的です。
一方で、子どもが経済的に自立できない場合に支払う義務があり、成年に達しても経済的に未成熟なら支払う義務を負う考えもあります。
一般的には、子どもが高校卒業後に働く場合は高校卒業まで、大学に行く場合は大学卒業時まで支払を延長するケースが多いです。
浪人や留年をする場合もありますので、現役で大学を卒業した期間と決めるケースもあれば、大学を卒業する年の3月までとするケースもあります。
大学を卒業するまで養育費を受け取るケースが多く、大学院を卒業するまで養育費を支払うケースは少ないようです。
1-3 適正な養育費の金額とは?
養育費は、学校、病院、習い事、食費、洋服代など、養育に掛かる費用を個別に計算する方法は取りません。月数万円と決まった費用を親権者にまとめて渡し、親権者の判断で子どものために使います。
養育費は必要な費用を計算する必要はありませんし、何に使ったのかを報告する義務もありません。
養育費の金額は法律で明確に決まっておらず、当事者が合意ができれば金額や期間は自由です。
ただし、相場と大きく離れた金額では合意は難しく、調停や裁判で決まる金額を目安に合意する場合が多いようです。
当事者で合意できないときには調停や裁判で養育費を決めますが、調停や裁判では養育費算定表を基に金額が算出されます。
養育費は、支払者と同等の生活水準を子どもが保てる義務を負い、養育費算定表は主に元夫婦の所得から算出します。
養育費算定表は、元夫婦の収入状況、子どもの人数、子どもの年齢、給料所得者か自営業者かの4つの条件で算出します。
元夫婦の収入が最も大きく影響しますので、支払者の収入が少ないと養育費は少なくなります。
養育費算定表から算出した養育費の一例
養育費算定表から、一定条件の養育費を下記で紹介します。
親権者が年収200万円の給料所得者で、14歳以下の子どもが「1人」 | ||
---|---|---|
養育費支払者の年収 | 支払者が給料所得者の場合 | 支払者が自営業者の場合 |
300万円 | 2万~4万円 | 2万~4万円 |
500万円 | 4万~6万円 | 6万~8万円 |
800万円 | 8万~10万円 | 10万~12万円 |
親権者が年収200万円の給料所得者で、14歳以下の子どもが「2人」 | ||
---|---|---|
養育費支払者の年収 | 支払者が給料所得者の場合 | 支払者が自営業者の場合 |
300万円 | 2万~4万円 | 2万~4万円 |
500万円 | 6万~8万円 | 8万~10万円 |
800万円 | 10万~12万円 | 16万~18万円 |
養育費支払い義務者の所得が300万円だと、養育費は2~4万円で子どもの養育に十分な金額は受け取れません。
一方で、養育費の支払者の所得が800万円だと、養育費は8~12万円である程度の養育費が受け取れます。
また、子どもの人数が増えても養育費はそれ程増えず、支払義務者の所得が少なければ変わらない場合もあります。
このように養育費の金額が決まる理由は、「支払義務者と同等の生活を保持する義務」だからです。
支払い義務者の所得が少なければ養育費が少なくなりますが、これは離婚をしていない夫婦の場合でも同じです。
1-4 一度取り決めた養育費も変更が可能
養育費は一度取り決めた場合でも、正当な理由があるときには後から変更ができます。
また、養育費の取り決めを行っていない場合でも、後から養育費の取り決めを行い受け取りが可能です。
養育費は、支払者と同等の生活水準を子どもが保てる義務を負うので、元夫婦の経済状況や養育環境が変われば増額や減額請求ができます。
支払者の所得が上がる場合もあれば、受け取り者の所得が下がる場合もあるでしょう。このケースでは養育費の増額が認められる可能性があります。
一方で、支払者が失業や病気により年収が下がる場合もあれば、家庭の事情で生活が苦しくなる場合もあります。このケースでは養育費の減額が認められる可能性があります。
離婚をしていない夫婦でも、経済的な事情で養育に使えるお金は変わります。
経済状況による養育費の変更は、離婚をしている元夫婦も受け入れる必要があるでしょう。
養育費の増額や減額は、原則として元夫婦の話し合いで決めます。話し合いで合意できなければ、家庭裁判所で養育費増額や減額の調停で話し合います。
調停でも合意ができない場合には、自動的に審判になり裁判所が妥当な養育費の金額を決定します。
1-5 養育費は原則非課税
養育費は原則として非課税であり所得税や贈与税は発生しません。
金銭を受け取れば、通常は所得税や贈与税を支払う義務が発生しますが、養育費に関しては次の理由で税金は発生しません。
所得税法では、「学費に充てるために給付される金品、及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品については、所得税を課さない」とされています。
養育費は扶養義務があるから請求できるお金であり「扶養義務を遂行するための金品」に当たり所得税は発生しません。
贈与税に関しても、「扶養義務者相互間において、生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち、通常必要と認められるものについては贈与税の課税価格に参入しない」とされています。
子どもの教育費や生活費に充てる養育費は、「扶養義務者相互間」であり「通常認められるもの」に該当し贈与税は発生しません。
ただし、受け取った名目だけで課税されるかが判断される訳ではなく、実質的な判断がなされます。養育費の名目で受け取っても、土地の購入、車の購入、預貯金など、子どもの養育以外に利用すると贈与を受けたと見なされ課税対象です。
通常の養育費は、一定額を毎月受け取る方法が一般的であり、子どもの養育に使っていれば税金は発生しません。
数年分の養育費を一括で受け取る場合には、いったんは預貯金をして必要に応じて利用すると思います。この場合には、厳密には相続税の支払いが必要ですが、行政も養育費が相当な額であれば贈与税を課さない傾向にあるようです。
養育費に関しては、受け取る金額が通常より高額な場合を除き、原則として課税されないと考えてよいでしょう。
ただし、養育費の名目で受け取っても、相当額を超える養育費を受け取ると課税の対象です。
養育費は途中で未払いになるリスクがありますので、経済的に可能なら一括で受け取るメリットがあります。しかし、支払者側からすると、子どもが成人するまでに使ってなくなってしまう恐れもあり、一括での支払いを受けるのは難しいでしょう。
1-6 離婚するまでの期間は婚姻費用
婚姻費用とは、「夫婦と未成熟の子」の家族が、収入、財産、社会的地位に応じて、通常の社会生活の維持に必要な生活費です。
法律では婚姻費用は、夫婦が負担能力に応じて分担する義務を負っています。
この義務は離婚を前提に別居をしている夫婦も対象で、法律上の夫婦である限り発生します。夫婦が離婚を前提に別居した際には、収入が低い人に対して高い人が生活費を支払う義務があります。
養育費と婚姻費用は同じ意味を持つと考えている方もいますが、意味合いが異なる部分があり一部で扱いが異なります。
養育費は、子どもの養育に必要なお金であり、離婚理由に関わらず受け取る権利があります。また、離婚後は元配偶者を扶養する義務はありませんので、子どもの養育に必要な費用のみです。
対して、婚姻費用は子どもの養育費と片方の配偶者の生活費の2つの意味がるお金です。
請求する側に婚姻関係の破たんや別居の原因があると、「権利の濫用」と考えられ一部または全部が認められない場合があります。
婚姻費用の金額は、養育費と同じで夫婦間で合意できれば自由ですが、一般的に婚姻費用算定表を基にして決めます。
1-7 再婚したときの養育費
養育費を受け取っている側が再婚をした場合でも、再婚だけを理由にただちに養育費の支払いがなくなる訳ではありません。
再婚相手には法律上は連れ子の養育義務はなく、実の親に養育義務がありますので支払い義務も継続します。そのため、再婚した理由だけで養育費の減額は認められません。
ただし、再婚相手と連れ子が養子縁組をすると、再婚相手が第一次の扶養義務者になり、養育費の減額や支払いが不要なる場合があります。
養育費を支払っている側が再婚をした場合は、状況により養育費が減額される可能性があります。
養育費の金額はお互いの経済状況が影響しますので、再婚後に子どもができれば経済的負担が大きくなり減額される場合があります。
再婚相手の連れ子がいても、養子縁組をしなければ養育義務はありません。しかし、子どもが小さく再婚相手が働けない場合には再婚相手に対しては扶養義務があります。再婚相手の扶養義務を考慮すると経済的負担が大きく、養育費が減額される場合があります。
再婚相手の実際の所得だけで判断するのではなく、仕事をしていなくても働ける状態なら働いた場合の所得が加味されるようです。
2 養育費の未払いを避ける
養育費の取り決めを行っても受け取れないケースでは、適切な対応をすれば養育費の未払いを防げる場合があります。
養育費は月に数万円程度が一般的で、子どもの年齢により20年近い長期に渡り総額が1,000万円を超える場合もあります。
子ども養育に必要な大切なお金ですので、親の責任として養育費が受け取れる対応が必要です。
養育費が未払いになる理由は大きく分けると次の3つがあります。
・養育費の取り決めができていない
・相手に養育費の支払い能力がない
・養育費の取り決めをしたが支払いに応じない
「養育費の取り決めができていない」場合には、当事者で取り決めを行わないと解決ができません。
「養育費の取り決めをしたが支払いに応じない」場合には、適切な対応をすれば養育費を受け取れる可能性があり解決ができます。
一方で、「相手に養育費の支払い能力がない」場合には、養育費の支払いを受けるのは非常に困難です。
2-1 養育費の取り決めができていない
養育費は、離婚する夫婦(子ども)の問題ですので、当事者である夫婦で取り決めを行わないと支払いは受けられません。
養育費の取り決めができていなければ、受けとうのは困難ですので養育費の取り決めを行う必要があります。
夫婦関係が悪かったり離婚原因が受取り側にあると、請求がしずらいと思います。しかし、養育費は子どものための大切なお金であり、取り決めを行う義務があるのではないでしょうか?
養育費の取り決めは、必ずしも当事者で行う必要はなく交渉を弁護士に依頼できます。また、話し合いで合意できない場合には、調停や審判を利用すれば必ず取り決めができます。
2-2 相手に養育費の支払い能力がない
養育費は、親権を持たない親が子どもに対して支払う義務を負うお金です。
相手に養育費の支払い能力がなければ、養育費を受け取るのは困難で経済状況が改善するまで待つしかありません。
相手に養育費に支払い能力がないときには、相手の親である祖父母に対して養育費の請求を考える人もいるかもしれません。しかし、原則として、孫の養育費を支払う義務はないとされています。
養育費の支払いを祖父母に願いはできますが、相手が応じなければ強制はできません。
ただし、離婚をしても祖父母から見れば孫であり、孫をかわいいと感じ支払ってくれるケースもあるようです。祖父母に経済的余裕があり関係が良好なら、代わりに養育費を支払ってくれるケースがあるようです。
祖父母には養育費を支払う義務はありませんが、支払いたいのであれば受け取っても問題はありません。
2-3 養育費の取り決めをしたが支払いに応じない
養育費の取り決めを行ったにも関わらず、相手が支払いに応じないケースも珍しくありません。
このような場合には、適切な対応を行えば養育費を受け取れる場合があります。
養育費の未払いは支払者に問題があるのですが、受け取る側も未払いにならない対策が大切です。
法的拘束力がある書面を作成
夫婦間で決めた養育費を離婚協議書として残しても、法的拘束力が弱く未払いになる可能性があります。
離婚協議書は一種の契約書であり、財産を強制的に差し押さえる「強制執行」ができません。強制執行を行うには、養育費調停をして裁判所で養育費の取り決めを行う必要があります。
調停長所がないと手間が必要で、養育費が未払いになっても行動に移さず未払いを放置してしまう方が多いのが現状です。
「公正証書」や「調停調書」を作成すると、裁判所に強制執行の申し立てを行い相手の財産の差し押さえができます。財産の差し押さえは養育費を強制的に取得できるだけでなく、相手に資産の差し押さえができる認識を与えます。
結果として、養育費の支払いに応じる可能性が高まります。
公正証書の作成は、当事者双方が公証役場に出向く必要があり、相手が協力を拒む場合には根気強く説得をしなければいけません。説得をしても公正証書の作成に応じないときには、調停で解決を図り調停調書を手に入れましょう。
養育費は、法的拘束力が強い「公正証書」や「調停調書」を作成すると受け取れる可能性が高まります。
感情的な理由も未払いの原因になる
養育費の未払いは、支払者の経済的な事情ではなく感情的な理由も影響します。
離婚後も元夫婦の仲がよいケースは少なく、関係の悪さが原因で養育費を支払いたくないと感じる方も多いようです。
元夫婦との関係が悪いから支払い義務を果たさないのは問題ですが、支払いたくない気持ちになるのも理解できます。離婚後もできるだけ良好な関係を維持できれば、養育費が受け取れる可能性が高くなります。
養育費の支払者には、子どもと面会交流を行う権利が法律で認められています。
元夫婦の関係が悪いと面会交流を拒むケースがあり、面会交流ができないのを理由に養育費の支払いを拒むケースがあります。
面会交流と養育費は別の問題であり、面会交流を果たさないから養育費の支払いに応じないのは問題です。しかし、面会交流の義務を果たさない親権者に納得ができず、養育費を支払いたくない気持ちを持っても当然です。
養育費も面会交流も、元夫婦のためではなく子どもの健やかな成長のために必要です。相手に養育費の支払いだけを求めるのではなく、面会交流の義務を果たす必要があります。
夫婦の価値観の違いや離婚原因が親権者側にあると、面会交流をさせたくないと感じる方もいます。しかし、養育費を受け取らなくても面会交流を果たす義務があり、正当な理由がなく拒むと罰則もありますので注意しましょう。
子どもの健やかな成長を考えても、離婚時には夫婦間で取り決めを行い約束を守る必要があるでしょう。
2-4 その他に養育費が受け取れない場合がある
離婚後に元配偶者と連絡が取れなくなり、養育費が未払いになるケースがあります。元配偶者の自宅や職場が分かれば直接出向いて話し合い解決を図ります。
自宅や職場が分からず連絡が取れない場合には、弁護士に相談すると解決できる可能性があります。弁護士は弁護士会紹介という職権があり、自宅や職場の確認できる場合があります。
弁護士を利用しても居場所が分からなければ、探偵の所在調査で居住場所や職場が分かる場合があります。
ただし、元配偶者を見つけても資産や所得がなければ養育費の受け取りは困難です。弁護士や探偵はお金が掛かりますので費用対効果を考える必要があります。
養育費の支払者に所得があるにも関わらず、養育費の支払いを果たさないケースもあります。
調停調書や法制証書があれば給料の差し押さえが可能なので、弁護士に相談し強制執行を検討してみましょう。
元配偶者の勤務先が分からなければ、探偵の勤務先調査を利用する方法もあります。元配偶者の給料の差し押さえが可能であり養育費が受け取れる可能性があります。
ただし、配偶者が転職を繰り返すと給料の差し押さえも困難です。
3 まとめ
親は子ともに対してさまざまな義務や責任があり、その中の一つに子どもに対しての扶養義務があります。
離婚をして親権を持たない親も子どもとの親子関係は継続しますので、子どもの扶養義務があり養育費の支払い義務があります。一方で、離婚した元配偶者とは法律上は他人であり扶養義務はありません。
扶養義務は、自分の生活と同等の生活を子どもにも保持させる義務であり、自分の生活水準を落としてでも払う義務があります。
養育費の支払期間は、原則として子どもが成人までの期間です。しかし、実際には子どもが学校に行っている期間は支払うケースが多いようです。
養育費の金額は当事者で同意できれば自由であり、法律で金額が決まっている訳ではありません。話し合いで同意できなければ、調停や審判を利用し決定します。調停や審判では、養育費算定表を参考に裁判所が金額を決めます。
養育費算定表では、主に元夫婦の所得から機械的に養育費を決定します。支払者の所得が少ないときには、十分な金額が受け取れない可能性があります。
養育費の未払いを避けるには、養育費の取り決めを行い、公正証書を作成し、お互いの関係を良好に保つ必要があります。
離婚時には夫婦関係が険悪になっている場合も多いですが、できるだけ冷静には話し合いを行いましょう。
養育費の話し合いは必ずしも本人で行う必要はなく、弁護士に交渉をお願いする方法もあります。また、調停を利用しても解決を図れます。
子どもの養育に必要な大切なお金ですので、親の義務を果たす意味でも適切に対応をしましょう。
参考サイトの紹介(サイト外リンク)
【離婚対策】子供に必要な養育費の決め方をわかりやすく解説|養育費算定表の見方もわかる
離婚問題の悩みや不安を少しでも減らすための情報サイト「法ナビ離婚」もご活用ください。