親権の基礎知識と獲得方法


未成年の子どもがいる夫婦が離婚をするときには、親権が大きな問題となることも多いのでは無いでしょうか?
お金の問題とは異なり譲ることができない条件となる場合も多く、親権は他の条件と引き換えに獲得することが難しい問題とも言えるでしょう。

親権は第三者が決めてくれるものでは無く離婚する夫婦の問題となりますので、当事者である夫婦間で解決しなければいけない問題でもあります。
また、離婚する夫婦で一度は合意ができたとしても、その両親が反対をして話がまとまらないことも珍しくありません。このような理由から、親権は夫婦間で折り合いを付けることが非常に難しい問題でもあります。

親権について詳しく知ることができれば、親権に関する不安が解消できることもありますし、親権の話し合いを有利に進めることができる場合もあります。
このページでは、親権の基礎知識と獲得方法を解説していきたいと思います。

❏【 目 次 】 親権の基礎知識と獲得方法


親権の基礎知識

親権と言う言葉は多くの方が知っていると思いますが、親権がどの様な意味を持つのかを正確に理解している方は少ないのではないでしょうか?
また、親権は女性が有利と聞くことも多いですので、男性は獲得することができないと思っている方もいますし、女性は無条件で親権が得られると考えている方も多いようです。
このような誤解は、親権について良く理解していないことが原因となっている場合が多いようです。

親権と言う言葉のイメージから、「親である権利」と考えている方多いようですが、親権を獲得できなかったからと言って「親では無くなる」訳ではありません。親権とは決してそのような意味を持つものではないのです。
親権を獲得できなかった親であっても、子どもの実の親であることに変わりはありませんので、親子関係は当然として継続することになります。
そのため、子どもと面会交流を行う権利がありますし、子どもが遺産を相続する権利も継続します。また、子どもに対する扶養義務も継続することになりますので、養育費の支払い義務が発生することになります。
親権の意味を理解することができれば、親権に関するトラブルを避けることができる場合がありますし、親権の獲得を有利に勧められる場合もあるでしょう。

親権とはどの様な権利?

親権とは、「未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務」のことをいいます。
簡単に行ってしまうと、子どもと一緒に生活をして身の回りの面倒を見て、子どもに変わりお金などの財産の管理や契約の代理を行う権利です。
親権は未成年の子どもに対する権利や義務となりますので、18歳以上の子どもには親権と言う考え方は無くなり親権者を決める必要もありません。

法律で定められている具体的な親権の内容としては、「身上監護権」と「財産管理権」の2つになります。
どちらも親の権利であるものの、社会的に未熟な子どもを保護して子どもの精神的や肉体的な成長を図っていかなければならない親の義務という側面もあります。

未成年の子どもは親の親権に服することになりますので、婚姻期間中は父と母が共同して親権を行使することが原則となります。
一方で、日本の法律では父と母が離婚をすると、父と母が共同して親権を行使することが認められていませんので、父か母のいずれかを親権を行使する親権者として定める必要があります。
つまり、未成年の子どもがいる夫婦は、親権者を決めなければ離婚を成立させることができません。

(※現在、離婚後も共同親権を認める法改正の議論が行われていますので、将来的には離婚後も父と母が共同で親権を持つことができる可能性があります。)

身上監護権

身上監護権とは、子どもの身の回りの世話や教育など生活全般の面倒を見る権利です。
簡単に言えば、「子どもと一緒に暮らしながら面倒を見る権利」であり、監護権と略されて呼ばれることもあります。

身上監護権には、次のものが含まれます。

  • 監護・養育権
    子どもと一緒に住み、面倒をみていく
  • 居所の指定に関する権利
    子どもがどこに住むのか指定するもの
  • 懲戒の権利
    しつけのため、子どもを叱る・叩くなどすること
  • 職業の許可に関する権利
    子どもの職業(アルバイトを含む)に制限・許可を与えるもの

原則として「親権を持つ親」が子どもと一緒に暮らします。
ただし、特別な事情(経済的な事情など)がある場合には、「親権を持たない親」と子どもが生活するよう指定することも可能です。

財産管理権

財産管理権とは、子供の財産を代りに管理したり契約などの法律行為を行ったりする権利です。
「財産」と言うと分かり難いですが、具体的には「子ども名義の預貯金」や「離婚した相手から振り込まれる養育費」などが財産に当たります。
これ以外には、子どもに「贈与」された現金や不動産などの財産も当てはまります。
これらは子どもの財産ではありすが、親権者が代理で子どもの財産を管理することになります。
財産管理権には「法律行為の同意権」も含まれています。
これは、未成年の子どもが売買契約(携帯電話やアパートなど)をする際の親権者の同意、手術などでの同意が必要な場合などが当てはまります。

財産管理権には、次のものが含まれます。

  • 包括的な財産の管理
    (子どもの預貯金や贈与された財産などを管理する権利)
  • 子どもの法律行為に対する同意権
    (携帯やアパートなどを契約をする際に同意する権利)

財産管理権と身上監護権は別々に指定可能

財産管理権と身上監護権は別々の権利ですので、離婚後も父親と母親で分担することが理論的には可能です。
ただし、子どもがアパートや携帯電話などの契約を交わす場合、病院で手術の同意が必要な場合などで、普段子どもの面倒を見ている親権者(身上監護権)と契約に同意をする親権者(財産管理権)が別々であると、様々な場面で不都合が起きてしまう可能性があります。
これは、子どものためを考えても決して好ましいこととは言えません。
そのため、特別な事情がある場合を除き一人の親で両方の権利を受け持つことが一般的となります。


親権の決定に考慮されること

親権とは、親の権利である一方で、社会的に未熟な子どもを保護し子どもの精神的・肉体的な成長を図っていかなければならない親の義務という側面があります。
そのため、裁判所が親権者を指定するときには、子どもを十分に養育していけるか、子どもの成長のためにはどちらが親権者として適しているのか、どちらの親が良い養育環境を提供できるのか、と言った子どもの利益を中心に考えられることになります。
つまり、親の希望ではなく子どものことを第一に考え決定されることになります。

母親が有利とされている

裁判所が行う親権者決定の傾向として、子どもが幼ければ幼いほど「母性優先の原則」が働きます。したがって、基本的には「母親が親権獲得に有利」となります。
平成27年の司法統計によると、母親が親権を獲得したケースが約9割となっていることからも、親権の獲得では母親が圧倒的に有利であることが分かります。

裁判所が親権者を決めるときには、夫婦のどちらが多く養育に携わってきたか、どちらが積極的に養育をしていたかが考慮されます。
これは、今までの養育状況に問題が無いのであれば、環境を変えない方が子どもにとっては良いと考えられているからです。
日本の家庭の多くは、父親が中心となって家計を支えており、母親が子どもの養育の多くを担当しているケースが多いと思います。そのため、離婚後も父親が養育費を支払い経済的に子どもを支え、母親が一緒に生活をし育児を行った方が子どもの環境変化が少ないと考えられており、母親が親権の獲得で有利になる傾向にあるようです。

育児環境が整っているかが重要

親権者の決定には、「子どもを十分に養育していけるか」が考慮される傾向にあります。したがって、「養育環境が整っている親が有利」となります。
子どもの健やかな成長のためには養育環境は大切ですので、その環境を提供できる親が親権の判断で有利になるのも当然と言えるでしょう。
養育環境には、住宅事情、学校などの生活環境などの物的なものだけが考慮される訳ではありません。育児をする時間が取れるのか、親の年齢、心身の健康状態、代わりに面倒を見てくれる人の有無など、育児に適しているかが考慮される場合もあります。

過去の育児実績も考慮される

親権者の決定では、どちらの親が多く子どもの養育に携わってきたかが考慮されます。これは「これまでの養育状況に問題がなければ環境を変えないほうが良い」と考えられている為です。
過去の育児実績が多い親と少ない親を比べたとき、育児実績が多い親が親権の獲得では有利になることが多いようです。

子どもの意見が考慮される

15歳以上の子どもの親権を裁判所が決めるときには、裁判所が子ども本人の考えや意思を聞く必要があります。また、15歳以下の子どもに対しては、おおよそ10歳以上の子どもでは参考意見として考えや意思を聞くケースが多いようです。
これは、ある程度の年齢の子どもであれば、子ども自身の意志や意見が重要と考えられ親権の決定でも考慮されているようです。

兄弟姉妹不分離の原則

子どもが2人以上いる夫婦が離婚をするときには、それぞれの親が1人ずつなど親権を受け持つことが親から見れば公平に感じるかもしれません。
しかし、子どもは兄弟が一緒に暮らすことが子の健やかな成長のためには良いと考えられており、原則として1人の親が全ての子どもの親権を引き受けることが多いようです。これを「兄弟姉妹不分離の原則」と言い子どもが小さいときほど重視される傾向にあります。
親権の決定では、親の希望により決められる性質のものでは無く、「子の福祉」が優先され決定されることを忘れてはいけません。

親権の決定では現状優先の原則がある

裁判所が行う親権の判断では、子どもの生活環境を変えないことが望ましいと考えられており、現状優先の原則があります。
そのため、夫婦が既に別居している場合などでは、現在子どもと一緒に暮らしている親に親権が認められる傾向があります。

この現状優先の原則を悪用し、親権の決定を有利に進めようと片方の親が子どもを連れだし別居するケースが後を絶たず大きな社会問題になっています。
このような行為は著しく不条理な行為であり、もう片方の親にとっては到底納得できるものではありません。日本もバーク条約の締結を機に、子どもの連れ出しに対して裁判所の対応が変わりつつあります。
DVや虐待など正当な理由があるときを除き、一方的に子供を連れ出し別居をする行為は親権の判断で不利になる可能性があります。正当な理由がある場合を除き、勝手に子どもを連れ出し別居をする行為は避けるべきでしょう。

その他に考慮されること

裁判所が親権の決定に考慮する条件には様々なものがありますが、主に次のものが影響すると言われています。

  • 子どもに対する愛情
  • 収入などの経済力
  • 代わりに面倒を見てくれる人の有無
  • 親の年齢や心身の健康状態など親の監護能力
  • 住宅事情や学校関係などの生活環境
  • 子どもの年齢や性別、発育状況
  • 環境の変化が子どもの生活に影響する可能性
  • 兄弟姉妹が分かれることにならないか
  • 子ども本人の意思

親権を獲得する方法

夫婦間の協議で親権者を決めることができれば、離婚届けに親権者を記入して役所へ提出することで親権者が決まります。
このように夫婦間の協議で親権者の合意ができれば、法律などによる条件はありませんので自由に親権者を決めることができます。

ただし、離婚する夫婦の全てが話し合いで親権者の合意ができている訳ではありません。
夫婦の話し合いで親権者の合意ができないときには、親権者の指定を求める調停を家庭裁判所に申し立て、裁判所における調停の話し合いを通じて親権者を決めることになります。
調停でも折り合いがつかない場合には、親権者指定の審判手続に移行することになり、裁判所の判断により親権者を指定することになります。

裁判所が行う親権の決定では、子の福祉と言う考えに基づき親権者が決定されます。
これには、過去の育児実績など今からは変えることができないものも考慮されますので、離婚をするときに行動を起こしたとしても結論を変えられない場合もあります。
しかし、養育環境を整えることなどは今からでも対応が可能であり、親権の決定で有利になる行動を起こすことも可能と言えます。
最終的な結果を変えられるかは状況次第となりますが、できることは全てやってみるしか方法が無いのかもしれません。

夫婦の話し合いで親権を決める

親権を獲得するには、夫婦の話し合いで親権者を決める方法が近道となる場合があります。
裁判の判断で親権の決定を行うと不利になる状況であったとしても、夫婦の話し合いで合意できれば条件などは無く親権者になることが可能です。
まずは、夫婦の話し合いで合意できるように努力をしてみると良いでしょう。

相手が親権を譲らない理由には様々なものがると思いますが、子どもを手放したくないという理由が最も多いと思われます。
しかし、あなたの希望を認めたくないなどの感情的な理由が大きい場合も一定数はあるようです。また、あなたの育児や子どもの教育方針に不安がある、面会交流の約束が守られないと考えているなどの理由で親権を譲らない場合も少なくありません。
もちろん、これ以外にも親権を譲らない理由がある場合もありますので、相手がどうして親権が欲しいのかを知ることから始める必要があるでしょう。

夫婦の話し合いで親権を決めるときには、お互いの関係を良好に維持し冷静に話し合いを行うことが最も大切です。
その上で、育児や教育方針は離婚をしても2人の話し合いで決めていくこと、面会交流の取り決めを行い約束を守ることを伝えることで、相手が親権を譲ってくれる可能もあるでしょう。
また、子どもを一人で育てていくことは大変であること、子どもを大切に育てることなどを話し合うことで、相手の同意がえられるケースもあるでしょう。
夫婦関係が険悪になってしまうとお互いが意地の張り合いになってしまい、理屈ではなく感情が大きな障壁となってしまうことも少なくなく、話し合いでの解決が難しくなってしまう傾向にあります。
そのため、夫婦間の関係をできるだけ良好に保ち感情的にならずに話し合いを行うことが大切です。

その他にも、決して良い方法とは言えませんが、お金で親権問題を解決している夫婦が一定数居るのも事実です。
財産分与や慰謝料など他の条件を譲ることで、親権が得られる場合があるかも知れません。あなたが希望する条件を一方的に主張しても解決は難しい場合が多いですので、ある程度は相手の条件も聞くことが大切なのではないでしょうか。

より良い育児環境を整える

夫婦の話し合いで親権者を決めることができないときには、裁判所の判断で親権者を指定する必要が出てきます。
この場合には、親権の決定で裁判所が考慮する条件を理解し、今からでも整えることができれば有利になる場合もあるでしょう。

子どもを育てるにはある程度のお金が必要になりますので、安定した収入があり経済的な余裕があれば親権者の判断で有利になる場合があります。このことは、親権を獲得する目的だけではなく、その後の生活を考えても安定した所得を得ることは大切となります。
専業主婦やパート勤務の場合には、子供を育てていくために十分な所得が得られる勤務先を確保する必要があるでしょう。

子どもの年齢などにもよりますが育児にはそれなりの時間が必要になりますので、育児を行う時間が取れる環境を整えることで親権の判断では有利になる場合があります。
勤務先で時間の融通が利く部署に移動をしたり、あなたの両親が健康で経済的に余裕があれば育児に協力して貰うことも一つの方法となるでしょう。

住宅事情も親権の決定で考慮される場合がありますので、子育てに相応しい生活場所を整えることも大切です。実家で子育てができる環境であれば理想的ではありますが、子どもの転校が必要になるときには不利になる可能性もあるようです。

親が不健康であれば子育てができるのか不安が出てくるのも当然です。
病気などの健康状態で親権が得られないのは納得がいかない人も居るかもしれませんが、「子の福祉」と言う観点から考えれば考慮される条件であることになるでしょう。
身体の健康状態はもちろんですが精神的な健康状態も大切となりますので、親として監護能力があると認めてもらえる心身の健康状態を整える必要があるでしょう。

自分が親権者として相応しい主張

裁判所の判断で親権者を決定する場合には、自分が親権者として相応しい事実を主張することも大切です。
どれだけ親権者として相応しい事実があったとしても、そのことを裁判所に知って貰わなければ判断の材料とされることはありません。
ポイントとしては、「優れた養育環境の提供」と「監護養育能力がある」ことをアピールすると良いでしょう。
具体的には、過去の育児の実績、子どもへの愛情が分かるもの、経済的に可能、育児の時間が取れる、両親や兄弟などが育児に参加できる、心身ともに健康であるなどがあげられます。また、そのことを証明できるものがあれば、信憑性が高まることもあるでしょう。
親権者として相応しい事実があれば、親権の決定において有利になる場合があるでしょう。

相手が親権者として相応しくない主張

相手が親権者として相応しくない事実があれば、その事実を主張することも一つの方法となります。
裁判所が親権を決定するときには、自分と相手のどちらが親権者として相応しいかを比較することになりますので、相手に相応しくない部分があれば有利になる可能性があるでしょう。
ただし、事実と異なる主張は絶対に行ってはいけません。また、子どもには影響がないと思われる相手の悪口、相手を陥れるような主張は行ってはいけません。
あなたの人間性が疑われることになり、親権者として相応しくないと判断されてしまう可能性も考えられます。また、夫婦の関係が険悪になってしまい、話し合いによる解決が出来なくなる場合もありますし、離婚後の面会交流に応じて貰えなくなる可能性もあるでしょう。

具体的には、育児放棄が疑われるような頻度の外出や宿泊、子どもへの虐待、過度のギャンブルや借金、身体的及び精神的な病気、アルコール依存症、犯罪歴、過去の育児実績が無い、その他にも育児に相応しくない事実があれば主張すると良いでしょう。
相手に親権者としてふさわしくない事実があれば、親権の決定であなたが有利になる場合もあるかもしれません。
ただし、相手が親権者として相応しくな主張は、お互いの関係性が悪くなってしまう可能性もあり、感情的な面で和解が成立しにくくなることもありますので注意しましょう。

弁護士や探偵の力を借りる

親権を得たいときには、弁護士に依頼をすれば親権者となれる訳ではありません。
裁判では、事実に基づき公正な判断が行われますので、最終的には親権者として相応しい人が選ばれます。
ただし、弁護士に依頼をするメリットも多くあり、実際には親権の獲得で有利になることも少なくないようです。
弁護士は、どの様な主張や対策を行えば親権の決定で有利になるのかを知っていますので、親権の決定で有利な主張を行ってくれたり改善するべきアドバイスが得られる場合もあります。
一人では、何をしたら良いのか分からないときには、弁護士に相談をしてみると良いでしょう。

相手に親権者として相応しくない事実があるときには、その事実を証明することができれば親権が得られるケースもあります。
育児放棄に当たるほどの夜遊びをしている、夫婦が別居しており相手と子どもが同居しているにも関わらず育児の大部分を祖母が行っている、小さい子どもを一人にして遊びに出かけることが多い、ギャンブルやアルコール依存がある、薬物など犯罪行為を行っているなど、親権者として相応しくない行動がある場合には、探偵に調査や証拠収集を依頼することも一つの方法です。
また、親権者として相応しくない行動が無いのかを探偵に確認してもらうこともできます。


まとめ

親権とは、「未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務」のことをいいます。
親権の言葉のイメージから、「親である権利」と考えている方いるかもしれませんが、親権を獲得できなかったとしても「親では無くなる」訳ではなく親子関係は継続します。

離婚をする夫婦に未成年の子どもがいる場合には、どちらかの親を親権者と決めなければ離婚をすることができません。
親権は離婚する夫婦が同意できれば自由に決めることができますが、合意ができないときには裁判所の判断で決定する必要があります。
裁判所が親権者を決定するときには、親の希望ではなく子どもの利益を中心に考えられることになります。

裁判所が親権の決定するときには、子どもを十分に養育していけるか、子どもの成長のためにはどちらが親権者として適しているのか、どちらの親が良い養育環境を提供できるのかなどが考慮されます。
過去の傾向から、母親が親権を獲得したケースが約9割となっており、親権の獲得では母親が圧倒的に有利と言えますが、性別だけが親権の決定条件ではありませんので父親に親権が認められることもあります。
また、複数の子どもがいるときには、親権者を分ける判断は殆どなくどちらか一方の親が全員の親権を受け持つことが一般的です。

親権を獲得するためには、夫婦の話し合いで親権者を決めることが近道になる場合があります。
相手が不安に思っていること(教育方針や面会交流など)を解消できれば、親権の話し合いが纏まる可能性があります。また、その他の条件(財産分与や慰謝料など)を譲ることで、合意できる場合もあるようです。
裁判所が親権の決定をするときには、子どもの親として相手よりも相応しいと認めてもらわなければなりません。
過去の育児実績は変えることができませんので、より良い養育環境を整えることが大切となります。また、相手に親として相応しくない事実があるときには、そのことが有利に働く場合もあるでしょう。
自分一人では不安があるときには、弁護士に相談をしたり探偵を利用するなど、専門家の力を借りることも検討してみると良いでしょう。